「空き家」のイメージは、「ひなびた」「草ぼうぼうの」「今にも朽ち果てそうな」、もし自分の家のそばにあったら気になるはずです。でもこれは核家族化の現在、自分の身にも起こりそうな問題なのです。空き家を出さないためには、もし空き家になってしまったら、という問題に対して考えておく必要があります。
なぜ空き家になるのか?
- 子供たちは独立して自分の城を持っており、親とは同居していないので、親の家はゆくゆく空き家になってしまう
- すぐに売却すればよいが、なかなか実家は思い出もあり処分できない
- 兄弟で分割して相続したため、売却方針がまとまらず、長期間放置されてしまう
- 所有者が認知症で施設に入ってしまうと空き家の売却手続きが困難になってしまう
- 売却中であるが辺鄙な場所でなかなか買い手が見つからず長期化してしまう
- 再建築不可の物件は購入資金の銀行借入も出来ず敬遠されてしまう
- 賃貸するには補修に資金が必要であり、賃貸管理も手間が掛かる
- 古家が建っていると土地に対する固定資産税が安くなるため、あえて古家を壊さない
(特例:土地面積200㎡までの分について1/6に減額。但し特定空家等(後述)に認定されると特例の対象から外れてしまう)
空き家になると起こる問題は?
- 相続人が空き家のメンテナンス(換気や補修、掃除等)を行っていないと、建物の老朽化が進み、外壁が剥がれ、庭木などが境界を越え、近隣トラブルに発展する可能性が出てくる
- 不審者や動物の棲家となったり、犯罪の温床となることもある
- ごみを捨てられたり、害虫が発生したり、衛生上問題を生ずることがある
「空家等対策の推進に関する特別措置法」における代執行措置の対象となる「特定空家等」 ・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 ・著しく衛生上有害となるおそれのある状態 ・適切な管理が行われないことにより、著しく景観を損なっている状態 ・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 |
空き家にしないためには?
1.相続への対策
- 相続時には持分による土地建物の所有を回避し、方針を出しやすくする
- 親が居るうちに、あるいは自分は子供たちに、空き家問題を提起し話し合う
~子供が住み続けることで330㎡以内であれば小規模宅地の特例(20%評価)が利用できる。相続が発生する前に賃貸併用住宅として一部を賃貸しておくと、相続後も賃貸部分については、200㎡以内の場合に小規模住宅地の特例(50%評価)を利用できる - 老後は戸建てからマンションへ移り住むことを考える
- 長期保有方針であれば、人手を掛けて建物や庭等のメンテナンスを行う
2.有効活用
- 自分が住まなければ、誰かに賃貸するか、利用させることを考える
~自分で不動産業者に依頼、あるいは自治体による空き家所有者と利用希望者とのマッチングを活用
~自治体によっては空き家を公共性のある活用を行うと補助金が支給されるしくみが用意されている - 空き家を解体し、土地を有効活用する
~駐車場、公園等
杉並区では老朽危険空家除却費用の助成制度があります。これは「特定空家等」と判断されなくても、特定空家等に準じるもの(不良住宅)と区で判定されれば助成対象となります。助成率は除却工事費の80%(限度額150万円)、工事着手前に助成金の交付申請することが必要です。 |
3.売却
- 固定資産税1/6の特例があるうちに売却する
- 譲渡所得の優遇措置(相続空き家の特例:一定条件のもとに相続から3年以内に売却すると譲渡所得から3000万円の控除)があるうちに売却する
最後に
東京都行政書士会は空き家問題に対して、東京都空き家利活用等普及啓発・相談事業として積極的に取り組んでいます。行政書士は空き家に対する相談を受け、自治体との連携により、対応策を提案しますので是非ご相談ください。