あなたが義理のお父様の療養看護を長年献身的に続け、そして亡くなられ、もし遺産があったのなら、あなたは相続人ではありませんが、一定の要件を満たす場合には相続人から特別寄与料をもらうことができます。これはあなたの権利です。(民法1050条)以下にご説明します。
特別寄与と認められる要件は?
次の3点です。
- 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたこと
- それにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたこと
- 被相続人の親族であること
無償で療養看護を続けられていれば、看護専門員を頼む出費は抑えられ、財産の維持に寄与していると判断できます。
誰に対して請求できるのか?
相続人に対して請求できます。もし当事者間に協議が調わないとき、あるいは協議をすることができないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できます。
ただし、相続の開始または相続人を知った時から6か月以内に、又は相続開始の時から1年以内である必要がありますので、協議が調わないときを見越して相続人にはなるべく早く請求しましょう。
どういったエビデンスが必要か?
家庭裁判所の特別寄与料の算定方法は「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して」定めるとあります。
相続人に対して請求する時も、これを参考に、
・いつからいつまで、・どのような方法で、・どんな療養看護をしていたかを説明する必要があります。そのためには日頃から、療養看護日誌を記録しておくことをお勧めします。これからでも間に合います。看護用品とかの実費も立替えているのであればその記録、労務提供の時間や日数、見守りやお話し相手としての時間、等を説明することができます。
請求できる金額の目安は
療養看護の一日の報酬額×療養看護日数で算出することができます。また療養看護の報酬額は例えばプロの報酬額と比較し割り引く必要があります。
介護ヘルパーさんの時給は1,400円前後、最低賃金で時給1,000円程度の茲許です。療養看護に当たられる日は、一日にどれくらい療養看護に時間を当て、そこから一日の報酬額の目安を付けられます。
また、「特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産から遺贈の価額を控除した残額を超えることはできない」と定められています。相続人と協議するうえで、相続財産がどれくらいあるかについては説明を受け考慮する必要があります。
最後に
相続人の間での遺産分割協議が決まる前に申し出をして、相続人との協議で特別寄与料が認められるのが一番早い方法です。話し合いがまとまれば、遺産分割協議書の作成は行政書士にお任せください。まとまらない場合は家庭裁判所に遺産分割調停申立書を提出することになり、書類作成を含め弁護士に相談することになります。